こんにちは。私は Michael Zhang です。歴史や文化、そして深い旅の探求に情熱を注ぐ中国人トラベルブロガーです。世界中の大河を訪れてきた旅人として、唯一、長江三峡(ちょうこうさんきょう)だけは、私に深い思索の時間を与えてくれました。この記事では、中国現代の水利工学の奇跡とも言われる「三峡ダム」の魅力に迫ります。スケールの大きさや技術的な偉業だけでなく、実際に訪れて感じたリアルな旅行体験をもとに、訪れるべきベストな時期、便利なアクセス方法、そして見逃してはいけない細部まで、詳しくご紹介します。
目次
三峡ダムとは
三峡ダムは宜昌市から約45kmの場所にあり、長江本流の西陵峡区間に位置しています。三峡ダムは、三峡水庫の東端にあたる場所に建設され、流域面積は約100万平方キロメートルにもおよびます。1994年に建設が始まり、防災、発電、航行、水資源の有効利用など、複数の目的を兼ね備えた世界最大級の水利ハブです。三峡水力発電所の中核でもあり、三峡ダム観光エリアの中心的存在です。
ダム本体は、放水を制御する重力式コンクリートダムで構成されており、主要構造物として発電設備と船舶通航施設も含まれます。ダムの軸線長は2309.47m、総延長は2335m、ダムの頂部の高さは185m、最大ダム高は181m、通常貯水位は175m、総貯水容量は393億立方メートルで、そのうち防災用容量が221.5億立方メートルです。総発電容量は2250万kWで、年間発電量は1000億kWhを超えます。三峡ダムによって長江の航行条件は大幅に改善され、年間の単方向通航能力は1000万トンから5000万トンへと向上し、輸送コストも35%~37%削減されました。
- 住所:宜昌市夷陵区三斗坪鎮江峡大道(Appleマップ / Amap)
- 開館時間:8:30~17:00(三峡ダム乗換センターの営業時間)、三峡プロジェクト博物館は月曜日休館
- 所要観光時間の目安:2~4時間
- ベストシーズン:四季を通じて見学可能。特に5月〜6月にかけての放水シーズンは必見
- 入場料:無料(ただし、内部観光には公式バス乗車が必要、35元)

三峡ダム観光マップ

三峡ダムはなぜ建設されたのか?
洪水対策・災害軽減
長江流域は古くから洪水の被害が多く、1954年の大洪水では3万3千人以上が犠牲になりました。三峡ダムは、防災容量221.5億立方メートルの貯水能力を持ち、荊江区間の洪水対策レベルを「10年に一度の大雨」から「100年に一度」へと引き上げました。つまり、極端な気象条件下でも、三峡ダムがあれば長江中下流域の洪水リスクを大幅に減らせます。江漢平原や洞庭湖周辺の農業地帯、人口集中エリアを守り、年間3,000億元以上の経済損失を回避できると試算されています。
クリーンエネルギーの供給
三峡水力発電所には、合計34基の水力タービンが設置されており、総発電能力は2250万kW、年間発電量は882億kWh以上に達します。これは年間5,000万トンの石炭消費量を削減する効果があり、中国の総発電量の中でも大きな割合を占めています。中部や東部地域の電力需要を支えると同時に、世界最大級の水力発電所として、世界的な再生可能エネルギー供給にも重要な役割を果たしており、中国の環境技術の実力と貢献を示しています。
航行能力の向上
三峡ダムの建設以前、長江の航行環境は厳しく、物流や地域経済の発展にとって大きな制約となっていました。ダム建設により、水位が上昇し、水流が穏やかになり、1万トン級の大型船も5段階の船舶エレベーターを経由して重慶まで直行できるようになりました。その結果、長江の物流能力と輸送効率は大幅に向上し、運送コストも大きく削減されました。

もし三峡ダムが決壊したら?
直接的な災害影響
- 洪水の衝撃:393億トンの貯水が一気に放出されることで、巨大な洪水が発生し、下流にある宜昌から南京、上海などの都市は、甚大な水害に見舞われる恐れがあります。第二次世界大戦中、ドイツで4億トンのダム決壊により3万人が死亡したケースがありますが、三峡ダムのスケールはそれを遥かに上回ります。
- 連鎖災害:洪水により、下流にある葛洲ダムなどのインフラも損壊し、被害の範囲がさらに拡大する可能性があります。
社会・経済への影響
- 停電の発生:2240万kWの発電能力が一瞬で失われ、中国の中部・東部電力網の安定が脅かされます。
- 経済の麻痺:長江航路が完全に停止し、沿岸の工業地帯にも大打撃。年間で12兆元を超える経済的損失が生じる可能性もあるとされています。
三峡ダムで絶対に体験すべきこと
主な見どころ
タンツー嶺(坛子岭)
タンツー嶺は三峡ダム観光エリアの中心的な展望スポットのひとつであり、ダム全体の構造を一望できる最適な場所でもあります。高台に位置し、視界が広く開けており、ダムの全景と長江両岸の蛇行する渓谷のラインを見下ろすことができます。天気の良い日には、ダムと水面の境界に光が反射し、きらめく様子が壮観で、水利技術の迫力を体感できる絶好の写真スポットでもあります。
タンツー嶺は三峡ダムで最も早く一般公開されたエリアの一つであり、複数の展望台と案内パネルが設置されています。望遠鏡やガイドマップも完備されており、ダム構造の各種パラメーターを理解するのに役立ちます。ここからは放水の様子、船舶用エレベーターの運行、上下流の水位差といった技術的な見どころを間近に見ることができます。

185プラットフォーム(185平台)
185プラットフォームはダム頂上に位置し、その名前は海抜185メートルに由来しています。三峡ダムの中心構造に最も近く、最も直接的にそのスケールを感じられるスポットです。ここではダムの上に立ち、巨大な水利施設のスケール感を肌で感じられるだけでなく、上流と下流の水位の違いを観察することで、水資源の調整力も実感できます。
タンツー嶺から徒歩約10分で到着でき、川沿いの遊歩道を歩きながら向かいます。景色が美しく、空気も澄んでいて、のんびり散歩するには最適です。特に注意したいのは、このエリアで電動カートにお金を使わないこと!遊歩道は数百メートル程度で、日除けやベンチも用意されており、わざわざ有料で迂回する必要はまったくありません。

三峡プロジェクト博物館(三峡工程博物馆)
三峡プロジェクト博物館は、三峡ダムの背景にある科学的な原理や設計理念、建設過程や歴史的文脈を深く理解するための理想的な場所です。館内では模型、写真、インタラクティブ展示、マルチメディアを通じて、この世紀のプロジェクトがどのように立案・設計・施工されてきたのかを詳細に解説しています。エンジニアリングに興味がある方や、中国近代史に関心のある旅行者には見逃せないスポットです。
特におすすめなのが、館内で上映される4D形式の「截流ドキュメンタリー」。毎日2回(10:00と14:30)上映され、立体的な映像と迫力ある音響で、三峡ダムの截流シーンをリアルに再現しています。上映ホールには早めに入場し、前列の席を確保するのがおすすめです。臨場感が格段に違います。
- 開館時間:火曜日~日曜日 9:00~17:00
- 休館日:毎週月曜日。訪問前にスケジュールをご確認ください。

截流記念公園(截流纪念园)
截流記念公園は、1997年に三峡ダムの截流が成功したという歴史的な瞬間を記念して設立された、シンボリックなスポットです。園内には複数の彫刻や当時使用された工事資材の実物が展示されており、当時の現場の雰囲気をそのまま再現しています。記念、教育、文化が融合した野外展示エリアとして、多くの旅行者に人気です。
ここでは、当時截流に使われた巨大な鉄筋コンクリート構造物の遺跡を間近に見ることができるほか、建設作業員たちが現場で残したスローガンや記録も読むことができます。まるで国全体が一体となって挑んだあの時代へとタイムスリップしたような感覚を味わえます。単なる撮影スポットというよりも、静かな歴史との対話の時間として、ゆっくり歩いてじっくり体験することをおすすめします。

三峡ダムの入場チケット案内
三峡ダム観光エリアは入場無料ですが、ビジターセンターから観光スポット内部に入る際や、各スポット間の移動には観光シャトルバスの利用が必要です。チケットは35元です。
観光バス料金(観光車票)
- 大人:35元
- 無料:6歳未満の子ども
チケット購入方法
- オンライン:公式WeChatアカウントから予約可能
- 現地購入:三峡ダム乗換センターの窓口で購入

三峡ダムのガイド情報
三峡ダムには公式ガイドはいませんが、宜昌市内から出発する日帰りツアーの利用を強くおすすめします。ダムは市内からかなり離れているため、もし自家用車がない場合は、ツアーに参加することで移動手段とガイドを同時に確保できます。実際、三峡ダムは中国でも珍しく、個人旅行よりも団体ツアーのほうが快適に楽しめる観光地の一つです。
- 日帰りツアーの予約:Trip.com割引、Klook特価
おすすめの三峡ダム観光ルート
三峡ダム観光エリアのルートはほぼ固定されています。観光シャトルバスに沿った順路で、ビジターセンター → タンツー嶺 → 185プラットフォーム → 三峡プロジェクト博物館 → 截流記念公園 → ダムのミニチュア模型エリアという流れです。
三峡ダム周辺のおすすめグルメ
三峡ダムのふもと、観光センター付近には本場・宜昌の味を楽しめるローカルなレストランが多く集まっています。わざわざ遠くまで移動して食事する必要はありません。時間がかかるだけで、味のクオリティも大きく変わりません。
三峡ダム周辺のおすすめホテル
三峡ダム周辺にはホテルがあまり多くなく、主に民宿スタイルが中心です。もし、三峡ダムに近く、かつ宜昌市内の他の観光地にもアクセスしやすい場所に泊まりたいなら、「宜昌万達(ワンダ)」周辺のホテルをおすすめします。宜昌万達は三峡観光センターに隣接しており、「二つのダムと一つの峡谷クルーズ」や夜の長江クルーズに参加しやすいのが魅力です。また、周囲にはバスターミナルもあり、各地への移動にも便利です。ショッピングモールの下にはレストランも多く、食事に困ることはありません。
水雲嵐ホテル(宜昌三峽観光センター浜江万達広場)
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- 交通:三峡観光センターまで徒歩5分
- 1泊の料金目安:293元(約6,430円)
- 予約サイト:Trip割引
- 評価:Trip 9.7点
- 特別なニーズ:ジム、ロボットによるルームサービス、ランドリー、ファミリールーム
立地がとても良く、万達広場や三峡観光センターまで徒歩5~7分程度とアクセス抜群
客室は少し狭めですが、清潔で温かみがあり、設備も整っています。特にスタッフの対応が丁寧で、ウェルカムドリンク(エビジュース)やお菓子のサービスも嬉しいポイントです。
怡景美季ホテル(宜昌万達広場三峡観光センター)
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- 交通:三峡観光センターまで徒歩15分
- 1泊の料金目安:299元(約6,560円)
- 予約サイト:Trip割引
- 評価:Trip 9.5点
- 特別なニーズ:ランドリー、ファミリールーム
万達商業エリアと三峡観光センターの両方に近く、目の前には川沿いの公園が広がり、まるで都市と自然が融合したような景観を楽しめます。
やや古めのホテルですが、部屋は広く明るく、清潔感があり、設備も良く手入れされているため、非常にコストパフォーマンスの高い宿です。
宜昌市内から三峡ダムへのアクセス方法
おすすめは216番の市バスです。所要時間はタクシーとほぼ変わらず、料金は圧倒的に安く、乗車場所も多くて便利です。
公共交通機関
- 216番バス(夜明珠バスターミナル → 三峡ダム乗換センター):一般的な市バスではなく、観光バス仕様の快適な車両。料金は15元、所要時間は約1時間。始発は7:00、最終便は17:00で、西陵峡展望台などに停車します。
- 809番バス(宜昌東駅 → 秭帰):途中「三峡ダム乗換センター」で下車、所要時間は約1.5時間。
タクシー・配車アプリ
宜昌市内から三峡ダムまでのタクシー移動はおよそ50分、料金は130元程度が目安です。
宜昌三峡空港から三峡ダムへのアクセス方法
宜昌三峡空港から三峡ダムまでの直通公共交通はありません。まず空港バスで宜昌東駅まで移動し、その後809番バスに乗り換えるルートをおすすめします。
公共交通機関
最初に空港バスで宜昌東駅まで移動し、その後809番バスで三峡ダムへ向かいます。
- 空港バス:料金は25元、所要時間は約40分。ただし「満席発車制」のため、出発まで待ち時間があることがあります。
- 809番バス:料金は17元、所要時間は約1時間。
タクシー・配車アプリ
三峡空港から三峡ダムへ直接タクシーを利用する場合、所要時間は約1時間で、料金は120元程度です。
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